県民の皆様へ

岐阜県糖尿病対策推進協議会

設立趣旨説明と経過報告

 日本人の内「糖尿病が強く疑われる人」は1997年690万人と推定されておりましたが2002年には740万人に増加、また「可能性が否定できない人」即ち糖尿病予備軍とでも申し上げるべき方々は1997年680万人が2002年には880万人へと増加の一途をたどっていると報告されております。

 糖尿病は、ひとたび発症すると治癒することはなく、放置すると失明に至るような網膜症を引き起こし、あるいは糖尿病性腎症・腎不全になり血液透析を受けなければならなくなったり、脳卒中や狭心症・心筋梗塞を起こしたりいたします。即ち知らない間に様々な合併症を引き起こし、気付いた時には手遅れということがしばしばあるやっかいな病気です。また糖尿病患者さんの約半数が治療を途中で中止するか、あるいは全く治療を受けていないとのことで、こういった状況は合併症の増加ひいては医療費の増加を招くと考えられています。

 21世紀における国民健康づくり運動、所謂『健康日本21』など様々な糖尿病対策にもかかわらず、行政主体の対策のみでは糖尿病患者さんの数は増加の一途をたどっており、この増加に歯止めをかける為に、いかなる対策を講じたらよいのか、現在3000人と言われる糖尿病専門医の診る事が出来る患者さんの数は多く見積もっても80万から100万人が限界で、かかりつけ医や、糖尿病医療に関与するさまざまな人々が結集し、多方面からの対策を講じることが重要と思われます。

 今年2月9日、日本医師会・糖尿病学会・糖尿病協会は、21世紀の糖尿病患者を減らすことを目標に糖尿病対策推進会議を設立いたしました。このような試みは初めてのことでまさに画期的なことです。私たち岐阜県においても同様の対策推進のための会を設立するよう5月より準備をはじめ、7月15日に第1回準備会議を開きました。その後何度か準備会を開催し検討をかさね、11月14日みなさまと共に設立総会を開催出来るところまで漕ぎ着けることが出来ました。

 既に岐阜県におきましては、今年3月に報告書がまとめられた恵那保健所糖尿病減少プロジェクトという注目すべき事業があります。恵那保健所管内には糖尿病専門医が不在という状況があり、糖尿病予備軍の指導対策を、恵那保健所の久保田保健所長、岐阜大学の山本教授指導のもと、恵那・中津川の医師会・歯科医師会・薬剤師会・栄養士会・保健師の方々が協力して、プロジェクトが進められました。

 その結果、検診後の強力な指導とその指導継続により、1年後のヘモグロビンA1c悪化例を15%と国が健康フロンティア戦略において期待している20%以下に抑え、糖尿病への移行を予防できる可能性を示唆されました。そのなかで、今後は指導教育体制の強化拡大のみならず、医療機関と指導システムとの連携、更に産業医あるいは衛生管理者を含めた職場への体制整備が必要であるとの意見がのべられております。

 設立準備会議では、この恵那地方での試みと反省を参考に検討し、岐阜県独自の取り組みとして、医師会・糖尿病学会・糖尿病協会のみならず、行政の参画も得、更に糖尿病対策に関わるすべての関係団体・機関の力を結集し、各団体には独自に糖尿病対策の推進事業を進めていただくと共に、各団体の活動を有機的に結合し、効率性を高めた糖尿病予防・減少対策ネットワークを作ることが効果的であろうとの結論に達しました。

 即ち参加を呼びかけた団体・参加くださった団体にありますように、行政・大学・子どもの時から指導をとの事で学校保健会、さらには糖尿病予防・治療に関わる様々な組織・団体に参加を呼びかける事としました。また製薬会社・その他支援していただけそうな団体にも支援と参加を呼びかける事といたしました。実は早速十六地域振興財団からは50万円の支援をいただくことが決まり、協議会設立を記念しての県民セミナーを開催しようと考えている次第であります。

 岐阜県においておこなうべき糖尿病対策目標は、の『岐阜県糖尿病対策推進協議会設置要綱案』に記載いたしましたとおりでございます。

 即ち、検診受診率向上により、糖尿病予備軍の方々をより多く見つけ・見逃さず、発見された糖尿病予備軍の方々に指導を徹底し、糖尿病への進展を防止したい。さらには糖尿病患者さんの受診及び治療率向上を促し、糖尿病専門医とかかりつけ医の協力即ち病診連携により治療成績の向上を図りたいということであります。

 予備会3回、設立準備会議3回計6回を経て、この『要綱案』を作成いたしました。また参加をお願いし賛同いただけた団体機関も別紙に掲載いたしました。

 設立の趣旨、経緯は今述べましたとおりでございます。設立準備会関係団体一同の設立に対する熱意と意志を汲んでいただきまして、設立要綱案のご承認をお願い申し上げます。そして、我々と共にこの事業に参画・ご協力をいただけるよう、設立準備会一同共々お願い申し上げます。

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